2008年10月23日

昨日の続きとしての今日と、続かない今日…パコと魔法の絵本


やっと仕事のヤマが片付き、ルーナ先輩と映画へ行きました。

最近映画を観ることが多い…何故だろう(姫様の舞台がないからだ間違いなく)。


終電を越えたときに愛用していたバルト9のミッドナイト上映(深夜二時以降開映)がなくなっちゃってザンネンであります。
不景気だから…?
23時半開映とかだったら、映画見ないで電車で帰るもの。


仕事明けで、ルーナ先輩に至っては徹夜明けで、字幕なんてない感じで気軽に見たかったんですよ。
と言うわけで渋谷22時スタートの「パコと不思議の絵本」を観に行きました。
時間が合うのがそれしかなかったというのもあり、まあやくしょこーじさんのじじいコスでも観に行こうかねくらいのものすごい安直なセレクトでした。

どうやら原作は舞台脚本みたいです。
そういえばこの間渋谷でポスター見たよ!と、不意に思い出しました…観ればよかったなあ芝居も。



気持ちいいほどネタバレしているので!
未見で楽しみにしている方は気をつけてくださいませー



絵本の中の絵本の中の絵本の中の絵本、という感じで、合わせ鏡を覗いたみたいな不思議な映画でした。


 

ある家に、ひとりの老人がやってきてそこに住む若者にある昔語りをはじめます。


ある、病院。
なんだか飄げた医者と種類の違うあばずれナースがふたりいる、どこかの国の郊外にある小さな病院。
世間から隔絶され、孤立したちょっと御伽噺じみた世界。
一風変わった(もしかしたら他の病院では入院を断られたのかも?的な)入院患者たち、その中に「ガマ王子対ザリガニ魔人」の絵本を抱えたパコという名の少女がいる。

そこにある会社の社長が会議中に倒れて入院。
そいつは「おーぬき」(大貫氏。のちにパコが“おーぬき”って感じで呼ぶのでまねっこ)。
ヘンクツなクソジジイで、人々を見下げ果てていて、人を見れば「お前が私を知ってるってだけで腹が立つ」と言い放つヤナヤツでした。

ある日パコは、中庭でおーぬきに会った時にひとなつこく笑って寄っていき、絵本を読んでもらう(おーぬきはめちゃめちゃ適当に読んだ挙句投げ捨てやがりました)。

その時におーぬきはライターを落としてしまい、それをパコが拾いました。
次の日、内心ライターを大切にしていたおーぬきは庭を必死に探します。
その時、通りかかったパコがポケットから“自分のものとして”ライターを出したので、おーぬきはライターをパコに盗まれたのだと思い、彼女の頬をひっぱたいたのです。

パコはギャン泣き、おーぬきはそのあと医者からパコの病状を聞くことになる。

彼女の7歳の誕生日に家族みんなで乗っていた車が交通事故に遭ってしまい、両親は死に、奇跡的に生き残った彼女は脳の「記憶を溜めておく場所」が壊れてしまって、朝起きると前の日の記憶はまったくなくなって、事故の日の朝に戻っている。
彼女の誕生日の朝は両親も生きていて、母からの誕生日プレゼント「ガマ王子対ザリガニ魔人」という絵本が枕元においてある。

彼女の時間は前に進まずに、ただグルグルと自分の7歳の誕生日を繰り返しているのです。
前日におーぬきと話したことも、ライターを拾ったことも、パコはなんにもおぼえていない。

そのことを知り、おーぬきはそんな絵本を投げ捨てたことを、そんな少女を殴ったことを猛烈に後悔。


そして次の日、頬にしっぷを貼ったパコは、おーぬきに同じように無邪気に笑っておはよう、と言うのです。
後ろめたいおーぬきはパコに謝ろうとするのですが、パコは殴られたこともおーぬきのことも、なにも覚えていない。

謝ることすら許されなかったおーぬきは、ぼーせんとして自分が昨日殴った頬にそっと触れると、パコが不思議そうに「おーぬきに前も会った…?」と言う。
その時におーぬきは、人の心に残るということのおおきさとか、嬉しさとか、ちょっとした切なさとかを知って、初めてパコに名前を覚えて欲しいと思うのです。

名前を覚えるということは、その人の心にいる、ということだから。
口癖のように「お前が私を知ってるってだけで腹が立つ」と言ってたおーぬきが、毎日まっさらになってしまう彼女の心に自分の存在を残したいと心から願う。

それからというもの、ヘンクツなクソジジイは、毎日パコにおはようと挨拶をして、名を名乗り、頬に触れ、絵本を読んであげる。
許して欲しくて、次の日も覚えていて欲しくて、彼は毎日繰り返す。

彼女は、忘れてしまうのに。


そんな毎日が、病院主催の「ミッドナイトクリスマス」というイベントで劇を上演することになり少しずつ動いていき…という話(というか、これからが本題っぽい)。
でもここまでのくだりが私はとても好きだった…(とういうか、冒頭15分は早速飽きかけていたのですが、パコ登場後はひどいのめりこみようだったので…私がのめりこむまでをたどってみました…なんとなく……)

私あらすじ説明するの本当にヘタクソなので、ここまで飽きずに読んでくださった方がいらっしゃるなら是非ご覧になっていただきたいかと…決して放棄するとかそういうのではなくゴニョゴニョ


ミッドサマーキャロル、と書いてあるだけあって、おーぬきはアンクルスクルージなのでしょう。

絵本の「ガマ王子対ザリガニ魔人」になぞらえて、患者たちがそれぞれ自分の中の敵と戦う。
弱虫の消防士、中年のオカマ、不法所持の中が暴発して運ばれたヤクザ(このエピソードがまた身を揉むほどよい)、子役で大成して子役を辞められない青年…みんな何かを抱えて、みんな何かから逃げてきている、そんなひとびとです。
アンナちゃんのナースが暴力的なツンデレで、バックボーンがなんだか笑っちゃうくらい切なくて、好きでした。


この物語は、そういう人々に勇気を持って戦えば勝てる!とか言ったりとかしないのです。
ただ、勝てたかどうかではなくて、逃げずに戦ったのであれば、それを誇れ、と。


そしてラストがまた………泣かせる上にひとくせもふたくせもあって、老人が語る“病院と言う世界”で浮いていた人物(一応患者?)が、浮いていた訳がそこで明かされることになる。


CGの使い方も、「こんなすっごいCG創っちまったんすよおれら!」という風ではなくて、飛び出す絵本(仕掛け絵本)を演出するための道具としてのCGで、なんてイキなんだろう!と思いました。

セットも、手作りの悪趣味っぽさがキッチュで凄くかわいい。

そして音楽がまた素晴らしいのです。
包帯だらけの楽団(おもちゃのピアノ、小太鼓、バイオリン…など)と、のこぎり演奏者が、物語につかず離れずの距離で画面に登場して“生演奏”をする。
“どこにもないアジア”風味の、哀愁漂う音楽でした。


というわけで………号泣…号泣ですよ。
私的映画至上稀に観る号泣。
だまされたー
ごくライトにくすくすうふふと笑うつもりで来たのに…!!!


最初、本当に気軽に見ていたので涙が出たときには手探りで探しましたハンカチを。そしてティッシュを。

白いサリーちゃんのパパみたいになったやくしょこーじが、名演。
顔の半分くらい特殊メイクで表情なんて動かないのに、おーぬきがパコをひっぱたいたことをモーレツに後悔するシーンとか、横向いてるだけなのにヒリヒリするくらいの後悔が伝わってきてやんなった。
なんだかみょーに悔しくて、失楽園のクセに!とかうなぎのくせに!!とか悪態をついてみてもやっぱり心揺さぶられました…。

そしてパコちゃんが何よりも“なにもない”のが、またきれいで切なくて、理屈なしに涙が引っ張り出される始末。
ルーナ先輩と泣きはらした目でセンター街のmiyama(行きつけだった日比谷店が姫様ご卒業とほぼ同じくして閉店したと思ってたら、渋谷にオープン…)で、水分補給して帰りました。


今まで見た映画の中で何がいちばん好き?って言われたら今ならこの作品を答えると思う…!

姫様が出てないってのに長かったなあ久しぶりに…
ていうか姫様が出てないってのに書いても書いてもなお整理できない衝動的な感動に揺さぶられたのも久しぶり…

posted by 海野モノトモ at 01:54| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶりです☆

ご覧になられたんですね!
私は舞台版をTVで観たのですが(さららん目当てに)その時も大号泣でした。

映画館では涙腺をカタ〜く締めていたはずなのに、涙の止め方を知らなかったお〜ぬきが大泣きした瞬間、必死で嗚咽を堪えていた隣の席のオッサンが『んッ…』と漏らしたのにグッときてしまい、結局ボロボロ…やられた!(笑)

CGも良かったですね!映画ならではです。
全体的に舞台よりもかなり御伽噺感が強いかなと思います。所々カットになっている台詞やエピソードもありますし…逆に追加された小ネタとかも…(笑)

映画にしか出来ない世界観、舞台でしか味わえないテンポ感や息遣い…どちらも大好きな作品です(^_^)
長々失礼致しました。
Posted by 夜棲 at 2008年10月25日 00:55

>夜棲さま

お久しぶりです!
今はエリザベートにお忙しいのでしょうか?
私は東京待ちです〜

「パコ〜」、もう夢中です!
まさか反応してくださる方がいらっしゃるとは!
CG、キッチュでかわいかったですね。
基本「パコ目線」になっていて、初めてCGのありがたみを知ったような気がします…

舞台版、テレビでやったのですね!見たかったなー
どなたかお目当ての役者さんが出られていたのですね。
ますます舞台も見比べてみたくなりました…
うらやましい!!

でもあれだけの名作ですから、きっとまた再演するだろうと楽しみにしたいと思います。
まずは映画のDVDとサントラを買おうと思います!(どんだけハマったのか…)

コメントありがとうございました!
Posted by 海野モノトモ at 2008年10月26日 04:01
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