2009年02月21日

君の憎しみさえも愛してた 例え離れていてもそうです…マルグリット


千秋楽を観に行きました。
そう、行ったのです…今更ながら申し上げますと。

月の半ばに仕事のヤマが来るわけで、アクト公演にすっぽりはまった形になって疲労困憊です。
でも行く!
行った!
なぜなら姫様が出ているから!

とりあえずほぼ気力で乗り越えた感…。
 


 

アクト公演のまとめ的な意味合いでなんとなく役者別になっているようななっていないような感じでネタバレであります。


姫様の女性姿に惚れ直しました。
というか、姫様の役者としてのポテンシャルに衝撃を受けたというか。
ラブシーンもあり、歌のキーも高く、長年に培った男役のスキルを発揮する場がない役にもかかわらず、たいへん潔く40歳のうつくしい女性を演じていました。
女性にしてはオトコマエな仕草はありましたが、男役を引きずっていることはまるっきりなかったのです。
すっぱりと女性になっていた。

それは、姫様が一度男役を、そして舞台そのものを全うしきったからだと思います。
その上でそれでも戻ってきたからこその、あのマルグリットだったのではないでしょうか。

その大胆なスタンスがすごくスマートでかっこいいな、と思うのであります。
姫様のファンでよかったな、というか、私はすごいひとのファンなのだな、と心から思ったこの一週間でありました。

というわけでマルグリットなわけですが、冒頭のアルマンを呼ぶ声がなんともドラマチックでうっとりする。
しかも、既に結末を知っているからか、その声にぐっときます。

今回主要の3人が初めてだらけということで、まだ探りあい中なのか、役者同士が魂をぶつけ合って舞台上で不思議な化学変化を起こすという境地までには達していないと思います。
姫様自身も、女性としての魂のぶつけ方を試行錯誤中というか。

その代わり、ひとりのシーンの深化ぶりは健在でありました。

鏡よ、と自分の現実の姿を嫌と言うほど見つめながら、それでもアルマンへの恋を抑えきれずに涙を流す様はもちろん、特にジョルジュにすげなくされた後の「どうしてこんなことに」的な歌が…日を追うごとに素晴らしくなっていく…
独り魂をたちのぼらせていく様は凄絶であり、姫様の真骨頂であるように思います。

あと死ぬ瞬間のいのちが発光するように見える死に様も姫様の真骨頂かと(姫様ったら真骨頂だらけだ!)。
恋しいひとに抱きしめられたからだから命が剥がれ落ちていく姿があまりに神々しい。
いのちのぬけた手がするりと落ちる様子にエリックを思い出して…ほらアレですよたいへんであります。
零れ落ちる手をいつかのクリスティーヌがしたようにアルマンが追ってくれたりしたら私泣き死んじまうかも(アルマンにそこまで求めるのはまだ酷かしら)。


アルマン役の田代くんは、恋にのぼせる青年役がぴったりだと思う。
彼の演技初体験でいっぱいいっぱいだと思うのですが、そんな余裕のない感じがマルグリットを性急に求める青年とダブってとてもリアルでぐっときます。
ただ、歌っている時にふとアルマンでなくて“アルマンの歌を歌う田代くん”になっている瞬間が多々見られて、歌が素晴らしいだけに残念ではありますが、それはきっと経験が克服していくのだと思います。
そういう青い部分が見られるのも“初めてならでは”かもしれません。

アルマンの腕の中でマルグリットは死んでいくわけですが、アルマンが瀕死のマルグリットのもとにいっしょうけんめい駆けて来てくれて、かぶりつかんばかりに抱きしめてくれるので、マルグリットは最期にアルマンに会えてよかったなあとわりと本気で思ってます。
マルグリットはそうやって死ぬために、生きてきたのかもしれません。
アルマンに出会わなかったら、彼女は独りっきりで路傍に打ち捨てられて死んでいったわけですから。


オットーは冷徹一辺倒ではなくて、不器用すぎるというか、憧れた女性を口説く術を持たず、恋愛がヘタで、でもすごく素朴にマルグリットを愛している。
とってもドイツ人っぽいように思います(私の知識自体、主に「アドルフに告ぐ」と「ヘタリア」なあたりダメっぽいけど)。
あと、個人的にマルグリットに迫る時に「いいぞダーリン」って言うのがすっごく好きです。
愛しているふりだけでもしてくれたのなら「幸せとしよう」。
懇願するような声は、たぶんアルマンと同じくらいオットーもマルグリットが好きだったのだと思わせる切なさがありました。
それでも拒否するマルグリットを無理やり鏡台に座らせて並んで座って鏡を覗き込む。
硬く心を閉ざしたマルグリットと、ほんの少し寂しそうで疲労の色濃いオットーの表情の対比が絶品です。


ルシアンとアネットとピエロで歌うデイバイデイが短調三拍子のアレンジで、パリミュゼットの雰囲気が郷愁を誘われる。
聞きほれているといきなり出てくるアルマンにビクッとする…
あと、窓を壊す爆撃にもいつもビクッとします。
ということで一公演に二回は必ずビクッとしているような…(多分傍目にも分かるくらいビクッとしているとおもう…)
アネットは姉さん女房っぽくて微笑ましい。
あのスウィングバンドの年齢はアネット・ピエロ→ルシアン→アルマンって感じかなあ。
初日にはルシアンがあんまり甘ったれでアネットを困らせてばっかりでホントニモーと思ってましたが、最近リヨン駅の大時計の下でのルシアンがすごく男の包容力が増していてカッコイイです。前半は困った駄々っ子とお母さんのような風情だったのに、きちんと愛し合う恋人どおしになっていました。

ピエロは前半と後半の差が大きくなり、凄みが増してきた気がします。
彼の「医者が…見つからない」が、事切れたマルグリットのからだを抱いて呆然とするアルマンと群衆とを隔てる幕のように響く重さを伴ってきたように思います。


アンサンブルもすごく力強くてカッコイイ。
少人数だからこそひとりひとりのパワーがすごいというか。
最近早足で歩いていると「デイ・バイ・デイ 人が消えていく♪」と頭の中で不穏な歌を歌っていたりしてちょっと困ります。

そういえば、オットー暗殺の直前にパリの歌を歌う赤毛の女性に見覚えが…
姫様のコンサートにでてた人でしょうか。
すっごくかっこいい歌いっぷりです。


といった感じで千秋楽もたいへん熱い舞台でありまして、何度もカーテンコールがあり、出演者のご挨拶。
たぶん寺脇さんと姫様のマイクだけ通っている状態で姫様は黙って悠然と微笑む中、主要3人の中で年長者であるところの寺脇さんがいっぽ前に出てご挨拶。
たいへん動揺(?)なさっているご様子で

「えーっと…………す、すみれさまっ…すみれさまが! …はるのすみれさまがご挨拶いたします」

…投げおった!丸投げしおった!!
しかもすみれさまってつごうさんかい言った!

姫様は一瞬「…へ?」となったあとに、慣れた様子で今までのお礼と次の公演も観に来てくださいという旨をおっしゃって優雅に礼。

てらわきさんが横でピエロと共に挙動不審でたいへん面白い。
オットーだったっ…け?みたいなかんじに。
もしや寺脇さん、照れてる…?
アフタートークでこんなにちゃんとしたカーテンコールは初めてだって言ってたので、そんな中での挨拶は照れちゃうのかも。
大の大人が!オットーが!!
照れてるなんてかわいいなあ。
そんな寺脇さんを見たり見なかったりしながらすみれさまニッコニコ!

わたしだってニッコニコ!


そしてニコニコを心に秘めて死地…じゃなかった仕事場にもどったのでありました。

それからは覚えてません…どーしていつの間に金曜日の夜なんだろう…


さて次は梅芸!
梅芸公演は後半の参戦なので、それまでに逆裁観たり花のかわいこちゃんを観たりしなくっちゃなりません。

posted by 海野モノトモ at 01:57| Comment(5) | TrackBack(0) | マルグリット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しませていただいています。
私も楽は観ましたが、こうして文章に書きとめてくださると感動が甦り幸せな気持ちになります。ありがとうございました。
梅芸での姫のマルグリットの報告を楽しみにしています♪
Posted by sanae at 2009年02月21日 14:44
>sanaeさま

コメントありがとうございます。

楽のレポートというより総括的なかんじになっていて、
書きとめられているかどうか全く自信がないのですが…

ちなみに、言葉が足りなかったり文が途中で終っていたり(…)したところに手を入れました…

相変わらずのテンションで行きたいと思いますので、また覗いてやっていただけたら嬉しいです。
Posted by 海野モノトモ at 2009年02月22日 04:04
より一層共感できる嬉しい文章をありがとうございます!
私も このマルグリットで改めてオサさんに惚れ直したクチです。
本当に「すごい人のファンなんだ」と初日から実感しました。
日生までお預け組なので、レポを心待ちにしております♪
Posted by sanae at 2009年02月22日 18:11
海野モノトモ様

いつも楽しく拝見しています。春野さんへの温かい思いにあふれていて、読んでいる私まで幸せになります。

ところで、初めての書き込みで失礼も重々承知の上ですが、どうかお助けください。

25日18:30からのチケットが1枚あいてしまいました。行く予定の方が急病で。どなたかもらっていただける方はいないでしょうか。私は別にチケットを持っています。座席は1階14列53番です。空席は、春野さんはじめ皆さんに失礼かと思い、焦っています。

このような場合、どうしたらいいのでしょう…。



Posted by karin_10 at 2009年02月23日 17:44

>sanaeさま

あああわざわざコメントありがとうございました!
中途半端な状態で更新してしまってすみません…

マルグリットはとにかくじわじわきますよね。
アクトの後遺症で未だにじわじわしている次第です。

来週には梅芸な姫様も愛でてまいります〜
ありがとうございました!


>karin_10さま

はじめまして。コメントありがとうございました。

25日…たいへん申し訳ありませんが、わたし東京におりまして普通に仕事があるため、
その時間に梅田の劇場に行くことが出来ないのです。
(只でさえ少ない)友人たちもみんな東京におりますし…

ご家族やご友人をお誘いになってみたらいかがでしょうか。
ミュージカルが初めての方でも、きっと喜んでいただける舞台だと思います。

お役に立てなくて申し訳ありません…。
急病の方がお元気になりますように、またkarin_10さまの観劇のお連れが見つかりますようにお祈り申し上げております。
Posted by 海野モノトモ at 2009年02月25日 01:20
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