2006年08月07日

時にはスナフキンように…花組ファントム


3泊4日ファントム独り旅から生還しました。
いやあ、4日間ファントムに浸りきったわけですが、私ほんとうにひとりだったので4日間もうほとんど口をきくことがありませんでした…
コンビにで買い物する時にちょっとしゃべるだけ…。
寂しいものですね……ムーミンたちが冬眠している間のスナフキンてこんな気持ちか?
私もハーモニカかなんか持ってけばよかったかしら。

某所でケイタイから感想をライブで更新していたのですが、何しろ1000字という字数に阻まれ、箇条書きの備忘録状態だったので(私まとめ能力が皆無なもので)、こちらで字数を気にせず感動を吐露したいと思います。
とにかく、今回は千秋楽から4日にさかのぼって行きたいと思います。

千秋楽のエリックは、自らの“幻想”に閉じこもろうとしていたように見えました。
その幻想の先には、幸福があると信じて疑っていない無垢なエリック…

希望の歌(と、where in the worldを命名…打つの大変だから) のくだりが、夢見がちなエリックと意外に現実を直視している従者&キャリエールの温度差が際立っていて秀逸でした。
希望の歌に入る前のエリックの独白を聞いて、後ろにいたみつる従者が「俺じゃ駄目!?」(推定)って風情で、エリックに駆け寄ろうとしていました。
でも、幸せな幻想に閉じこもったエリックにどうすることもできずに背中を向ける。
エリックの幻想には、生きた人間が誰もいなかったのかもしれません。
クリスティーヌの声を聞いて初めて、生身の人間を自分の幻想に招くことにする(それが哀しい出来事へとつながるわけですが)。
そんなわけで、一方のエリックは、いつか幸せになれることを疑ってない無垢な笑顔。
そして、その心情がそのまま、クリスティーヌのレッスンのシーンにリンクしている。ひばりのようにひばりの響き渡る天使の声に触れたんだもんね、そりゃ嬉しいに違いない。
とにかくニコニコエリック。
クリスティーヌの手を取って銀橋を渡るエリックは本当にウキウキしていた。恋愛の第一段階だよね、あのウキウキは。
切ない…。

でも、やがてクリスティーヌは幻想の世界の異物として機能しはじめる。
幻想に突如持ち込まれた現実。
暗い地下以外行き場がないことを忘れがちな(というか、その現実を見ないようにしている)エリックが、クリスティーヌに逃げられたことによって、動かしがたい現実を突きつけられてしまう――素顔を見せて、と。
仮面を取ってクリスティーヌに去られたエリック、たった独りで母を回想しているうちに懐かしそうな、愛しそうな笑顔を浮かべていました。クリスティーヌを素顔を愛してくれた母の思い出に寄り添わせて現実逃避しているような、痛々しさがあった…。
そしてクリスティーヌが逃げてしまったことをどうこう思うよりも、ただ純粋にクリスティーヌを求めていたように思いました。
歌詞の中に出てくる「クリスティーヌ」が、全部違うニュアンスだったのに圧倒されました。

撃たれてからのキャリエールとの会話が、また胸が痛い。
クリスティーヌに会ったことでようやくわかったはずの「生まれて来た意味」は、当のクリスティーヌによって否定されてしまった。でも
「それにクリスティーヌの声も聞けた」と、エリックが泣き笑いみたいに口許を緩める度に、自分の中で壊れかけた“生きる意味”を、どうにか納得しようとしているようだった…。
クリスティーヌが去った今、エリックにはもう音楽しかない。だから、キャリエールとの絆は音楽で固く結ばれていたというのは彼にとって救いになったかな。

鎖にがんじがらめになってキャリエールに撃ってくれと促すエリックは、銀橋で父の胸に飛び込んだ時と同じ顔で同じように腕を差し延べていた。
キャリエールに撃たれたところがほぼ致命傷だったみたいで、クリスティーヌに抱きとめられた時点で殆ど死んでいました。
だから顔にキスしてもらって幸せを実感して安らかに息を引き取るというよりも、言葉も意思もなくしてただゆっくりと、穏やかに死んでいったように見えました…しかもまるで映画のように息を引き取ったエリックの目尻から涙がひとすじ。
遺された方からしたら、後者が断然辛かろう…
最後にものすごいものを見てしまった。

容赦ないな、大王…。

というわけで、ものすごい繊細な舞台だったのですが、全くもって私は言葉を多く持たないのでうまく表現できないのがもどかしい…

posted by 海野モノトモ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ファントム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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