2006年09月21日

諸悪の根源は君だ…花組ファントム

仕事を放り出して仕事先の人をパリオペラ座は夜公演へご招待。先方のたってのご希望だったもので。
お互いに首を絞めあう行為ですよ…ま、私は本望ですがね。
 

今日のエリックはとてもあたたかくて、ささやかな幸せをかみ締めているようでした。
いわゆる“幻想”に閉じこもっていて、だから彼がささやかな幸せを取り上げられて、幻想が少しずつこわされていく度に切なかった。
でも、キャリエールとのやりとりでは、エリックの言葉の端々に最初の時点からすでに愛憎がうっすらと滲んでいた。
その“憎”が何処にあるのかなあと思ってキャリエールをみていたのですが。

親父殿、7月5日に書いた印象とはまた違って見えた。
人間的なのは変わらないのですが………キャリエールって無神経、だよな…。

善人で小市民で、優しい。でも、無神経。
そして、その無神経さをかえりみることができない。
無意識に無神経な、残酷な男。
その無神経さが、自分も、他人も苦しめることになる。

キャリエール…彼の不幸は、生まれ持った無神経さかもしれないと思った。

ベラドーヴァが狂ってしまったのは、神が救わなかったからか。
自分がベラドーヴァを救えなかったのは自身が信仰する神のせいか。
全てを投げ打って、抱きしめるだけの強さと一途さを持っていない。

エリックに対しても、そう。
彼を理解して、受け入れようとするクリスティーヌに、エリックの顔を見なければ本当の彼を理解したことにはならないと言う。

クリスティーヌを救おうとした一心だったかもしれないけど、エリックの顔は、クリスティーヌが正視に耐える顔ではないことはキャリエールにはわかっていたはず。
独りだった彼をそのまま受け入れようとしているクリスティーヌに釘を刺し、彼女を煽るようなことを言うのか…。

そして、またエリックを見捨て“なければならない”と宣言する。
彼にはあの結末を迎える前に何度も違う選択肢があったはずなのに。

「お前は素晴らしい歌手になれたはずだよ」
このセリフのなかに残酷さと優しさが共存しているように響いたのは初めてでした。
彼はなりたいと思ってたんだよ、でも才能とは別の理由で、なれないんだよ…。
しかも、もとをただせばキャリエールのせいだ。

でも、彼はそのことに気付いていない。

気付いていないまま、どうにか彼の気持ちを少しでも安らかにしてあげようとしている。
どこか的がずれている。彼の人生そのものだよ…。
そしてそれは彼の無意識的無神経のせいだ。

今日のエリックにうっすら滲んだ“憎”は、そういう父を持った青年のやりきれない気持ちだったのかもしれない。

弱くて、卑怯で、汚いよ。
でも愛してるんだよなあ。ベラドーヴァを、エリックを心から愛してるんだよなあ。
自分の無神経さが全ての災いを招いているのに、災いを憎み、悲しみ、涙を流す。

そういうキャリエールがなんだか憐憫の思いすらわいてきます。

そして、彼は最後に追い詰められて、エリックを殺すことになる。
前はその場の雰囲気に飲まれるようにピストルを向けていたけれど、今日は力強く振り向いて強い意志でエリックに銃口を向けていた。
エリックを救うには全てを清算しなければならないと思っているかのように。

卑怯だ、汚い、無神経だ…そう思いながら私はこのキャリエールを嫌いになれない。
人間そのものなんだろうなあと思った。

そんな男の胸に飛び込んでいくエリックの顔がすごく複雑な泣き笑いなのは、エリックもキャリエールのことがよくわかってたんだろうなあと思って、また涙…。


これはキャリエールが悪いわけじゃないんだけど、過去を語るシーン…キャリエールの述懐の中に

“母子をオペラ座の地下に住まわせた”

というような一文が、なぜない…。
これがこの物語のそもそもの根底にある設定であり、要だろう。
オペラ座の地下にエリックが住んでいるのが前提になってるんだろうけど、それだけでは全く足りない(byフィリップ)
何処で顔を見たの?オペラ座の地下ですか?そこらの川ですか??
エリック少年が毎夜泣いているのはオペラ座の地下なのはわかりますが。

posted by 海野モノトモ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ファントム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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