2006年09月22日

人を殺したことなんてなかったのに…花組ファントム

 
きょうも仕事先の方をお連れしました。同僚も仕事先の方をお連れしていて、しかも偶然隣で5人並んで観劇…。

仮面もないままブケーの肩を叩いているのは変だなあと思ってましたが、今日はなんだか妙に切ない行為に見えました。
エリックは自分の幻想に閉じこもっていて、地下で暮らさなくちゃいけないことを忘れがちみたい。
きっと彼の幻想の中で、彼はきっと醜い顔をしていることはないんだろう。
普段は従者達とキャリエールにしかふれあわないし、彼らは何も言わないから。

キャリエールの牽制のおかげで地下に入る者はいなかったから、長らく直面しなかった現実。
だから久しぶりの闖入者の肩を、仮面もつけずに無防備に叩く。
彼が驚いて落下し、死ぬ。
彼の驚愕で、エリックは自分の顔がそれほどひどいという“現実”を突きつけられてしまう。

それが全ての発端。…もしかしてそういう風に書きたかった?(そうだとしてもわかりにくすぎる…)

だからエリックはクリスティーヌの真実の愛を聞きながら、逡巡する。
大の男が驚いて死んでしまうようなものを、好きなひとに見せてもいいのか、と。

でも、母はキスしてくれたから、こんな顔でもキスしてくれたから。
そしてこのひとは母と同じように愛してくれると言ったから。

そう思って仮面を外して、過去の回想シーンで母親に抱きつくエリック少年と同じような気持ちでクリスティーヌに歩み寄る。
クリスティーヌの顔から笑みが消えていくのにしたがってゆるむその足取りがやりきれない。
クリスティーヌが去って、エリックの悲鳴が、長く切なく響く。
声の色が、慟哭から泣き声に移っていくのが、まるで絶望から悲しみに移っていっているようで、胸が潰れます。

最期、クリスティーヌの腕の中で、一緒に歌っていた。
私の観た中では珍しいバージョンでした。
クリスティーヌが何かを求めて差し出したエリックの手を握ってあげている。
ぐずる子を寝かしつけるような、慈愛に満ちた笑顔。
エリックが苦しい息の下で、クリスティーヌに顔を摺り寄せるような仕草をしていて…ううエリック…。
最期に見たもの感じたものが魂に焼きつくのなら、エリックはクリスティーヌのきれいな笑顔とやさしいぬくもりをいだいて死んでいったのだろうな。
大王のエリックを看取るのがあやねちゃんのクリスティーヌでよかったなあ…彼女の微笑みは本当に慈しみに満ちている(たとえ泣くのを我慢しすぎて口元がぶるぶる震えていても…それは美しい)。

エリックの水葬礼をみながら、エリックが天国にいけますように、と半ば本気で祈る。
だってエリックはひとをひとり殺しているから、天国にいけるか心配だったのです…。

そしてエピローグ。
エリックにとってクリスティーヌは“音楽の天使”だった。
そして、彼は死んでクリスティーヌの“音楽の天使”になった。
エピローグの鮮やかな逆転に、救われた気持ちになる。
だって天使がいるのは天国だもの、きっと天国に行けたね。
きっとクリスティーヌを見守りつつ、お母さんと一緒に天国で歌を歌っているに違いない。
よかったなあエリック。


………しつこいようですが、私はいつでも本気です。


フィナーレのラスト、みなさんが銀橋からはけるとき、そのかちゃんが2階にすかしたウインク。
あのすかしぶりがたまらん…月に行ってもその気概はなくさないでね…。

posted by 海野モノトモ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ファントム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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