2007年04月13日

メンソールの煙草を持ってちいさな荷物で楽園に行こう…明智小五郎の事件簿〜黒蜥蜴/TUXEDO JAZZ

 


イエモンの初期って、今回の舞台の世界観に通じるものがある気がします(でも引用したのは初期じゃない)。

観劇した日は明智先生に夢中なので、せめて今日はそれ以外のことを。
なんつーか、3日も観劇してないと禁断症状が(どんだけ辛抱たまらんのか…)。

気になる存在その2は(その1はもちろん波越警部)楽園の人々でございます。
トカゲちゃんは気になりすぎるのでオオトリ…

 

原作の黒蜥蜴(三島版も)では、黒蜥蜴は東京タワーの蝋人形館の如き剥製の館を作るわけですが、木村版では、トカゲちゃんは生きた人間を住まわせて“楽園”と言う。
私はその楽園の存在には、剥製の館以上に歪んだものを感じるのです(それって乱歩先生よりも木村先生が余計に歪んでいるということだとも思いますが)。


楽園の人々は、みんな同じ格好、みんな同じ髪の色。
姿は個性的でありながら、あの楽園の人々は没個性を強要されている。

そして彼女の作り上げた楽園には少女しかいない(少女に見えない人も数人いますが、少女ですよ…ね?役名が“楽園の人々”になっているのが大変ビミョウですが)。
トカゲちゃんは男たちは手下として使っているのに、少女達は温室のような密室で純粋培養しようとしている(サソリには共謀者として通り名(?)を与えて、違う扱いをしてるようですが)。

そして、楽園にいれば“あどけない子供のように”“親に愛されて育つ普通の子供のように”生きることが出来る、と言う。
トカゲちゃんは、彼らを楽園に住まわせて、そのように存在することを“強要”しているのです(一種の洗脳か…?)。

多分、それはトカゲちゃん自身の願望の投影なのだと思う。
戦争さえなければ、親に愛されてすくすくのほほんと育っていけたのに、という思いが強烈に彼女の中にある。
しかしそうあること出来なかったから。

そして彼女は代償行為に走った。
自分と同じような境遇のにんげんを拾ってきて、己の願望を押し付けたのです。

だから、人々が保護を与えられて社会に戻ることを明智先生から聞かされて、トカゲちゃんは“私の楽園は終わりなの?”と言う。
“彼女達の”でもなく“私たちの”でもなくて、“私の”と。
あの場所は、彼女にとってのみの楽園だったのだろう。
楽園は、彼女が善意から誰かを救いたくて造られたのではなくて、彼女自身が救われたかったために造られた。
楽園の人々はそのための道具でしかないのかもしれません。


彼女のしたことは、孤児を拾ってきて保護し、養うために盗賊をやっている一見“義賊”のようでいて、その実、結局彼女は戦争孤児達に自分を重ね、救えなかった自分を救おうとしている哀しき自慰行為だと思うのです。


彼女は明智先生が言うとおり、とても純粋なんでしょう。
でも、純粋さがどうしようもなくねじれているのが、彼女の哀しいところなのです。


哀れな娘だと思います。

 


……うーんなぜだ結局トカゲちゃん語りに…。

 
posted by 海野モノトモ at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 明智小五郎の事件簿〜黒蜥蜴/TUXEDO JAZZ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
トカゲも連れて行こう好きにやればいい♪

そうですねぇ、自分がしてもらえなかったことを誰かにしてあげることで自分を慰めてるところがあるんでしょうね・・・
純粋であればあるほどトカゲちゃんが愛しくて哀しいです。

あ、いいですね筋肉少女帯!聴きました☆
今も踊るダメ人間が頭の中で踊ってます(笑)
いつもながら、まとまりの無い・・・すみませんm(__)m
Posted by 夜棲 at 2007年04月15日 07:06

>夜棲さま

コメントありがとうございました!
夜棲さまならわかってくださると思いました、この歌(笑)。

トカゲちゃんはあの楽園を“私のおうち”と言っていて、彼女が帰るところ(帰りたいところ)なんだなあと思うと、最近観ていてさみしくなります…

あ、筋少、聞いてくださったんですね!!
ダメ人間…そ、そう来ましたか!(笑)
買われたのは大公式ですか?
それなら、とっつきやすいのは多分[サボテンとバントライン]、[香菜、頭をよくしてあげよう]、[蜘蛛の糸]、[トゥルーロマンス]などでしょうか。
個人的に、明智先生を思い出すのは[元祖高木ブー伝説]、男女逆にした明智&トカゲちゃんっぽいのが[生きてあげようかな]、アルバトロスの一場面を想起させる[サンフランシスコ]、そして、タランテラ!の一場面のような[詩人オウムの世界]。

でも明智先生の私的テーマソングである[パレードの日、影男を密かに消せ]と[世界の果て〜江戸川乱歩に〜]が入っていないのが残念です〜(笑)。
Posted by 海野モノトモ at 2007年04月16日 02:26
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