2008年04月05日

ある虫けらの生き様…赤と黒

 
赤と黒をみにいきました。

青年館は遠かった。
行く度に遠くなるような気がする…

そして青年館近くの公園の桜を見て、2年前にはあそこにウルフとアンナがいたのになあ、とか思う。
春っていつでも感傷的。


いざ席に座ってぼさっとしてたら、目の前の通路をめちゃくちゃ細くて白くてまっすぐな生足が通る。
赤いエナメルのハイヒールで颯爽と。


すげえなどんなひとだろって思って顔を上げたらちょう美人だった。
しかもかしげちゃんだった。


美人なはずだよ…



 


 

柴田先生のうつくしき日本語を堪能。


でも、あらんけいの持つリアリズムが、柴田先生の古典主義と真っ向からぶつかっていた気がしました。
柴田先生のどこか古めかしい綺麗な日本語が、あらんけいのリアリズムに乗ると妙なおかしみをうんでしまう。
普通に見ていたら笑わなくて済むようなところでうっかり笑っちまったのはそのせいかも。
あと、あらんけいのコメディの間とか空気感って独特でさいこうに笑えると思うのですが、今回の芝居の間がコメディの間とあまりに似ていたから…ついうっかりウフフ、ってかんじで…


10回時計が鳴る前に手を握らないと俺は…死ぬ、って、それって「この白線からはみ出たら妻が白色コーニッシュになる!」と言って必死に道路に引いてある白線の上を歩いているサラリーマンとわりと近しいひとというか…。
だってあれギャグまんがだもの。
でもジュリアンも真剣なら、そのサラリーマンも真剣だしなあ。
そして真剣であるほどそれはおかしいのだ。

それはちょっと残念でした。
でも却って、あらんけいだからこそのジュリアンにもなっていた。


すっごくロックなジュリアンだったのです。


もしかして初演は試合に負けて勝負に勝った的ジュリアンだったのかもしれない…のですが、あらんけいのジュリアンは試合に負けて勝負にも負けたって感じというか。

権力を憎み、気位は高く、そのくせ自分の出自を恥じて権力を手に入れようとする。
そして、自滅する。
あらんジュリアンは権力へのその貪欲さがあまりにリアルで、だからこそ最後の言葉はただの負け惜しみにしか聞こえない。
死ぬ前にジュリアンは負けたとは思っていないというようなことを言っていましたが、負けてますよ思いっきり。
だって求めていた権力に結局は命を奪われるわけですから。


ロックの結末はすべて破滅であり、敗北だと思うのです。
どんなに胸を張っても、どんなに気高い理想を持っていても、本人は負けたと思っていなくても。
滅びの美学、と嘯いてはみても破滅は破滅、敗北は敗北なのだ。
なんて愚かで、ものがなしいんだろう。


そして、その刹那的なものがなしさに私は熱狂するわけです。


そんなものがなしさのあるジュリアンだった気がします。
そしてそんな虫けらみたいなおとこの命のキラメキが、そのまま胸を刺すようなカタルシスとなるのであります。

よーするにすごく好きだったのですが、あらんけいがお好きな方が読まれたらお気を悪くしたかもしれません…すみません。
好きだったんですよージュリアン。
…なんで言い訳してるんだろ。


あすかちゃんのマダムは彼女の引き出しのなかの“マダムの型芝居”で、ある意味想像どおりでありました。
ママンな感じが素敵でした。
コンチータからは喋り方にクセがついちゃった感じもあります。
リコを「りぃっこーぉん〜」って呼んでたのがそのまま「ソレリ先生〜」って感じ(説明になってない)。

ジュリアンに夢中になってからは…なんつーかあすかちゃんの真骨頂っていうか、あすかちゃんそのものっていうか、この女重すぎる的なリアルさがありました……。


あすかちゃんのセリフで、神様が思慮をお取り上げになった、って柴田先生はなんと美しい日本語を(以下略…だって賛辞がこれ以上見つからん)。


ねねちゃんのマチルド。
なんつーか、イラっとして思わずぶん殴りそうになって振り上げた手の向こうにかわいらしさが見えたので思わずもっと好きになっちゃう的な女子を演じたらさいこうですこのおじょうさん。
大阪侍のときもそうだった…小悪魔め…!
ピンクがとってもおにあいよう。
何故か所作が時々困っちゃうほどあすかちゃんに似てた…。


キャラ的にはあすかマダムのお友達がさいこうです。
しろさきあいちゃん似のかわいこちゃんが演じていました(パンフレット買ってないから全然わからない…)

柴田先生の作品には、勘の鋭いおんなのひとが必ず出てくる(って言っても私はまだ3作しかみてませんが)。
うたかたの恋の“いとこどの”、バレンシアのフェルママ、そして、あすかマダムのお友達(誰一人として役名を覚えてないあたり、どーしようもないんですけど)。
ジュリアンのむこうの野心を見透かしていたり、本人もわかっていないマダムの恋心を優雅に言い当てたり。


柴田先生の女性の理想って実はここにあるのではないかと思う次第であります。


れおんくんのフーケとイタリア気質のフランス貴族みたいなロシア貴族殿(…)。
私がれおんくんを認識してからは、人の話を聞かないで恋の指南ばかりしている遊び人の役が多い気が…キーンの皇太子とか。
そんな恋の手管を総動員してもらわなくても………好きだよ?
とか言ってみたくなるような快活さでありました。
真ん中わけするとわたる兄さんの幻影が。


ブラックは、ロン毛のかつらをつける芝居が回ってくるといいなあ。
アレつけるとかっこよすぎて向かうところ敵なしだと思う。
今回は…ちょっとものたりなかった…かな…ロン毛じゃなかったぶん(どんだけロン毛がすきなのか、ってはなしです)。


 

posted by 海野モノトモ at 02:52| Comment(2) | TrackBack(0) | 星組 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
白色コーニッシュってそれ中村工房、あ荒川アンダーザブリッジですね!

去年からいつも読ませていただいてますが、
よりによってそこに反応してしまいました…。
Posted by ゆきぼん at 2008年04月05日 09:45

>ゆきぼんさま

そうですーシロさんですー!!
荒川アンダーザブリッジ(工房も!)がお好きな方がいらしたとは!!
私大好きなもので、ジュリアンを見ながらシロさんの顔がちらついて離れませんでした…

わたしは星が(海洋生物化する瞬間が)なによりも好きなのですが、シロさんもよい味出してますよね!

ちなみにあの作品の中で“割とどうでもいいことに全身全霊を傾けている”という観点で言えば、シロさんがいちばんロックだと思ってます…

Posted by 海野モノトモ at 2008年04月08日 20:06
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