2008年06月05日

くるくる少女は膨らむ胸に彼からの電波受信機がある…凍てついた明日〜ボニー&クライドとの邂逅


ここで彼に 埋め込まれた 口移しで くれたの


…というわけで(?)徹夜明けそのまま新幹線に飛び乗って大阪滞在時間5時間弱というほんものの強行軍で行って来ました愛原みかちゃんに会いに…いやちがった、その、凍てついた明日を観に。

あ、カルメンとバッハ編は宿題。。。


もちろん私は初演を観てません残念ながら。
だからサブタイトルが気になってました…ボニー&クライド“との”邂逅。
ボニーとクライドの邂逅じゃなくて、ボニー&クライドとの邂逅ってことは、そこに第三者がいるってことだと思ったのです。
それはもしかしたら初演を観た方かもしれないし、もしかしたら荻田先生自身のことかもしれない。
……どっちにしろ蚊帳の外ですけど。

蚊帳の外なりに楽しむまでです。
すっごく楽しみました。
なんつーかひさしぶりに荻田先生の作品で涙が出た。

あーもちろん徹頭徹尾ネタバレです。



ちょっとわからないことも。

*あんまりものがたりにかかわらない形でウロウロしている人たちは何の象徴だったのでしょう。
あんまり役に立ってない…上に効果的であったとも思えないのですが。
手伝ってくれない黒天使みたいなものなんでしょうかね。


*クライドの兄さん。
…あのひとなんだったんだろう?
クライドボーイ、と呼びかける包容力のある力強い声といい、正しいことだけをして暮らしてきた人間のまっすぐさといい…とてもクサい飯食ったことがあるとは思えなかった。
そして何故焼死…??
一番得体が知れなかった(存在意義もふくめ)


この2点は初演を見ていたらもしかしたら納得いくものだったのかもしれないので、まあそっとしておくことにします……


気を取り直して。


緞帳が上がった瞬間からボルテージが上がるったらありませんでした。
幕開き、真ん中に一本の道、そして上にはボニーとクライドの名前のある看板(みたいな、カウンターになったりもしている板)が目に入る。
名前の横の矢印が別の方向を向いている。
そして道の真上にはふたりの最期を象徴するような、ライフルで蜂の巣にされた車のドア。

全てを暗示していたと思います。

あの矢印の指し示す道を別々に歩んでいたらこういう結末にはならなかったのだろうなあと冒頭からやりきれなさが募りました。


ていうか、おーきかなめちゃんが!!!!
大王にそっくりで腰が抜けそうになりました。
顔が似てるわけじゃないのですが(ていうか髪型が少々オモロではないですか…?とがった後れ毛…)。

何が似てるって!
立ち姿とか(特に手を下ろしているのに少しひじが曲がってる感じとか)
歩き方とか(歩の進め方がそとまたで交差させながら歩く感じとか←分かりにくい…けど、なんていうか足跡をとったら同じあとがつくような…)
ソフト帽のかぶり方とか(かぶった後に少しつばの前をさわる感じとか、ひとよりも少しだけ目深にかぶるので少しあごを上げた感じになる感じとか、顔の隠れ具合とか)
悪ふざけしてんのかと思うほどのかっこつけ方とか(膝をついてソフト帽のへりを指でさわる感じとか)


………なあになんなのあれ大王のDNAが雪組に飛び火したの!?


などとうっかり夢見そうになったけど、クライドが声を発した瞬間に目が覚めました(おーきかなめちゃんはずいぶんかわいい声だった)。

そして愛原みかちゃん。
どうして彼女はポンコツ娘を演じるとあんなに美しいのだろうか。
悲劇が似合うなあほんと…そして芝居がとっても上手い子だったんだなあ…
萌え視点でばっかり愛でまくっていた自分を猛省しました。

そしてテッドはわたるさん似だったけど、もっとエゴイスティックな感じでとっても貫禄があった(多分ジョルジュの弟くん)。
レイモンドの生き方がちょうロックだった。
写真を撮る、という行為がどれだけさみしいことなのかということを思い知らされました。

そして、ボニーはフツウの女性だった。
働いて結婚して女手ひとつで育ててくれた(と思われる)母親をとても大切にしていた。

でもろくでなしのダンナは、犯罪を犯して牢屋にぶち込まれてしまう。
ダンナはろくでなしだったけど彼女はほんとうに彼を愛していて、離婚してもやっぱりダンナを愛している。
そして愛したまま自分から離婚するのですが、その気持ちは正反対なのにどちらも真実なので。
その彼女の大きな矛盾が彼女を腐らせ、壊してしまうのです。
それなのにしばらくの間、壊れていないフリをして暮らしている。

また、クライドはほんとうに少年だった。

大人になる術、現実を飲みこむ術を手に入れられない子供。
そんでもってすっごく甘ったれだった。
手に入ったもの、入るであろうものに反発して違うものを手に入れようとする。

クライドは、お嬢な恋人がいて、彼女は彼に“こっちの世界”に来てほしいと願っていた。
でも恋人のいう“こっちの世界”は敷居が高い。
彼が恋人の懇願に関わらず略奪をやめないのは、そんな小さな反抗心のようなものやテレみたいなものかなあとニヘニヘと照れたように笑うクライドをみて思いました。

そして彼は彼女を失い、結果、彼女の嫌がった略奪をさらに繰り返していく。
金が欲しい訳でもなく、略奪そのものが楽しいわけでもなく、略奪のための略奪。
でもそれは彼女への反発というより、彼女を失ったことへの代償行為みたいに見えた。
彼には全く荒んだところがなくて、生活上の困窮感もなくて、でもすごく寂しそうだったものですから。

さゆちゃんが演じたクライドの恋人ちゃんとボニーは表裏一体である気がしました。
ふたりとも身を切るようにその愛情を断ち切るのは同じで、ただ倒れていく方向が違っただけなのかもしれない。

なんとなくですが、恋人ちゃんにもキャンディ盗んであげたりしたことがあったんじゃないかなあと思った次第です。


そしてそんなふたりが出会い、ボニーがクライドの方へ倒れていくみたいに一緒にいることになる。


一緒にいるのは欠けているものどうし。
でもお互いでお互いを補完できないさみしいひとどうし。
ふたりの絶望や狂い具合には隔たりがあったわけですが、だからこそ一緒にいたのかもしれません。

ボニーは壊れたぜんまい仕掛けの人形が落ちた部品を探すみたいに彷徨って、クライドは何をするでもなくもちろん助けるわけでもなく、それをただぼんやり見ている。

ボニーは彷徨ううちにどんどん部品を落としていくみたいに壊れていく。
クライドはやっぱりそれをただ見ている。

ギャングとして名を馳せた頃(?)、巻き添えにするように仲間にした少年がボニーに未来の不安を訴えた時、ボニーは彼をあやすように優しく抱きしめてあげる。
微笑んだ後、剥がれ落ちるようにうつろな顔を見せる…その繰り返し。
それはまるできれかけの電球が明滅してるみたいで妙に不吉でありました。

ボニーは車整備士の少年や仲間の青年にきちんと友愛の気持ちを表現する。。
それすらもなんだか空虚な慈愛で、哀しかった。


彼女が帰りたい、とクライドに言うのは2回。

1回は実際にふたりの身内と会うことになる。
でも2回目は、母の元であの土地でもなくて、もう自分が自分でなかった頃に帰りたいと言っているようだった。


そして追い詰められ、それでも略奪をやめることなく、諦めるでもなく、未来のことを考えるでもなく、ただ穏やかにボニーを抱えて笑っていたクライドに、不覚にもリュドヴィークの面影を見ちまった…。


最期に、密告した青年をふたりは笑って許す。
でもああもうさっぱり無関心なのだ。

なんか台詞で色々言ってたような気がしますが、ここまでくるともう言葉は無力である気がします。
ボニーはもう部品を探すのすらやめてしまったように穏やかに静まっていき、そしてそれでもクライドはあがこうとしなくなったボニーを見つめ続ける。

そして、タカラヅカ的に美しく、世にも有名な結末を迎えるのであります。


再来週も行くとも!
さゆちゃんがどんなボニーになるのか。
違うボニーに対してクライドはどうなるのか。
楽しみであります。

…今度は強行軍じゃないよ。
花組も観たいなあ次回は。
posted by 海野モノトモ at 03:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 雪組 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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